非合理的で直接的な経験が表現者にとってかけがえのないモチベーションとなることがあります。それはある種の宗教的な体験に似ていますが、宗教以前のものであり、宗教のもととなる出来事とも解釈できます。
表現者たちは、訪れたヴィジョンをたよりに、自己を超えた名状し難い「何か」を捉えるべく身を焦がす思いで制作します。「何か」へのあこがれや思慕は、漠とした信仰心の発露ともいえます。しかし、描けば描くほど、作れば作るほど、その「何か」は、表現者の手からすり抜け別のものとなり替わってしまいます。そのため、彼らは向こうから「何か」がやってくるのを待つしかありません。本展ではこのような心情を仮に「顕神の夢」と名付けてみました。
ときとして土俗的な印象を与える作品が出来しますが、それは、近代化により捨象されず根強く残った心情の証しです。このような作品は既存の尺度では、測りえないものです。かといって、排除するわけにはいきません。現に作品は凄まじい力をもって迫ってきます。ならば、私たちは、作品にふさわしい尺度を学び、鍛えなければなりません。尺度がそぐえば作品は豊かな世界を開示してくれます。また、このような観点から、いわゆるモダニズムの文脈でのみ解釈されていた作品を読み直すことも可能です。優れた作品はすべからく不可知の領域に根ざしていると思われます。
本展は、今までモダニズムの尺度により零れ落ち、十分に評価されなかった作品や、批評の機会を待つ現代の作品に光をあてる一方、すでに評価が定まった近代の作品を、新たな、いわば「霊性の尺度」でもって測りなおすことにより、それらがもつ豊かな力を再発見、再認識する試みです。
円空、出口なお、出口王仁三郎、藤井達吉、萬鐵五郎、秦テルヲ、髙島野十郎、牧島如鳩、古賀春江、河野通勢、村山槐多、宮沢賢治、橋本平八、岡本天明、長安右衛門、関根正二、岡本太郎、高橋忠彌、三輪田俊助、金井南龍、佐藤溪、横尾龍彦、草間彌生、平野杏子、若林奮、八島正明、横尾忠則、芥川麟太郎、馬場まり子、藤山ハン、石野守一、齋藤隆、真島直子、内田あぐり、黒川弘毅、舟越直木、宮川隆、O JUN、藤白尊、赤木仁、上田葉介、三輪洸旗、黒須信雄、橋本倫、佐々木誠、石塚雅子、三宅一樹、吉原航平、庄司朝美、中園孔二、花沢忍
2023年10月21日(土曜日)~12月24日(日曜日)
〈前期〉10月21日(土曜日)~11月26日(日曜日)
〈後期〉11月28日(火曜日)~12月24日(日曜日)
※会期中大幅な展示替えがあります
各会期に出品する作品は作品リストをご確認ください。
(展示作品は諸事情により会期中変更になる場合があります。)
「顕神の夢―幻視の表現者― 村山槐多、関根正二から現代まで」作品リスト [PDFファイル/715KB]
9時30分~17時(入館は16時30分まで)
月曜日、11月24日(金曜日)
前売券 (一般のみ) |
450円 |
一般 | 800(500)円 |
高大生 | 500(400)円 |
小中生 | 400(300)円 |
※前売券は9月上旬より県内プレイガイド等で販売開始
※( )内は20名以上の団体料金、高齢者(65歳以上)、障害者手帳提示の割引料金、身体障害者手帳提示の付添い1名も()の額に割引
※展覧会前期(10月21日~11月26日)にご来館いただいた方は、同チケットで後期展示も観覧可。
45台(無料)
町立久万美術館、久万高原町、愛媛新聞社、愛媛CATV、顕神の夢展実行委員会
NHK松山放送局、南海放送、テレビ愛媛、あいテレビ、愛媛朝日テレビ、FM愛媛、高知新聞社、RKC高知放送、愛媛県、愛媛県教育委員会、松山市、松山市教育委員会、久万高原町教育委員会
一般財団法人地域創造
鎌田東二(京都大学名誉教授)
●記念鼎談「顕神の夢」
日程:10月21日(土曜日) 15時30分~16時30分
講師:鎌田東二(京都大学名誉教授、本展監修者)
土方明司(川崎市岡本太郎美術館館長、本展提案者)
江尻潔(足利市立美術館次長、本展提案者)
定員:100名
参加費:無料(要観覧券)
●ワークショップ「木を見つめる」
日程:12月2日(土曜日) 10時~14時30分
講師:三宅一樹(彫刻家、本展出品作家)
定員:15名(小学5年生~一般対象)
※要申し込み、ワークショップ詳細ページをご覧ください。
●学芸員解説
日時:11月18日(土曜日)、12月16日(土曜日) 各14時30分~15時
講師:当館学芸員
参加費:無料 ※要観覧券
※チラシの記載情報に誤りがありました。上記が正しい実施日時です。
申し訳ございませんでした。
顕神の夢―幻視の表現者/2,300円(税込)
会場および通信販売にて、展覧会図録を販売しています。
通信販売については「出版物」をご確認ください。
町立久万美術館
Tel:0892-21-2881