
「2025年度久万美コレクション展 WALKS 歩くこと」展チラシ [PDFファイル/627KB]
歩行とは二つの地点を結ぶほとんど無意識的な移動手段でしかない。しかし思索や儀式や観想と重なることによって、歩くという行為には特殊な領域が形成されている。(…)つまり、歩行という主題は、わたしたちがありふれた行為に賦与している特殊な意味を考えることともいえる。
―レベッカ・ソルニット
歩行とは、単なる移動手段に留まらず、思索や観想と結びつくことで特殊な意味を帯びます。しかし多くの人にとって、歩くことは日常生活の何気ない動作として実践され、目的地への移動という側面以外は、特別気に留められていないかもしれません。
それでは、芸術家たちにとって、歩くという行為はどのような意味を持つのでしょうか。
たとえば、面河渓に魅せられた古茂田公雄、山頂を目指した畦地梅太郎、青木ヶ原樹海を行く斎藤和雄など、描く対象を求めて自然の中を歩いた作家たちがいます。一方、都市もまた、芸術家たちのフィールドとなります。長谷川利行は東京を彷徨い、作家が見つめた街の景色を絵に残しました。丹治日良は、松本竣介が描いた街を実際に歩き、作品と実景の検証を試みました。また、坪内晃幸は道路標示の〔40〕を一定期間撮影し、路上そのものをモチーフとしています。
さらに、歩行には思索や精神活動としての側面も存在します。哲学者・土井虎賀寿は、思考を深めるために近所の山道を散歩したといいます。村山槐多もまた、懊悩する傍らに散歩があったことを日記に書き残しています。
また、同じところをぐるぐるとまわる―巡るという歩き方は、日本人の祈りの行動様式と言われます。四国特有の文化であるお遍路は、祈りの気持ちを歩行に託しているのです。
本展では、当館のコレクションをもとに、芸術家と「歩くこと」の関係性について考えてみたいと思います。
今年度新たに収蔵した森堯茂《さらわれたかたち》は、2023年に惜しまれながら閉店した「サントリーバー露口」に長く置かれていた作品です。また、同じく今年収蔵した鞍掛徳磨によるリトグラフは、同一の作品が東京のバー「風紋」の壁に飾られていました。
小特集では、「露口」の常連作家の作品や、酒にまつわる作品を紹介します。
2025年12月20日(土曜日)~2026年4月19日(日曜日)
9時30分~17時(入館は16時30分まで)
月曜日(ただし、2026年1月12日、2月23日は開館)、2025年12月30日(火)~2026年1月3日(土)、1月13日(火)、2月12日(木)、2月24日(火)
| 一般 | 500(400)円 |
| 高大生 | 400(320)円 |
| 小中生 | 300(240)円 |
※( )内は20名以上の団体料金
※高齢者(65歳以上)、障害者手帳(身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳)をお持ちの方とその付添者(1名)は半額。
※3月22日(日曜日)は「開館記念無料開放デー」のためどなたも無料。
45台(無料)
日時:2026年1月17日(土)、2月14日(土)、3月22日(日)、4月12日(日) 各14時30分~15時
講師:当館学芸員
参加費:無料 ※要観覧券、申し込み不要
日時:2026年3月28日(土)10:00~11:00
講師:当館学芸員
参加費:無料 ※要申し込み
未就学児とその保護者を対象にした鑑賞会です。
日時:2026年4月4日(土) 14:00~15:00
講師:当館学芸員
参加費:無料 ※要申し込み
小学生を対象とした鑑賞会です。
日時:2026年3月22日(日) 9時30分~17時(入館は16時まで)
1989年3月23日に開館したことを記念して「無料開放デー」を実施。当日はどなたも無料でご覧いただけます。
日 時:2026年4月11日(土) 10:00~12:00
講 師:面河山岳博物館学芸員
参加費:無料 ※要申し込み
博物館学芸員による木や草の解説を聞きながら、美術館の敷地内にある庭園「山草園」を散策します。
各イベントの詳細は当館HPでお知らせします。