町立久万美術館開館35周年記念 2024年度自主企画展「久万美の原点―洲之内徹」チラシ [PDFファイル/12.3MB]
久万美術館は2024年3月に開館35周年を迎えました。当館の根幹をなす井部コレクションの多くは、美術評論家・洲之内徹が経営する現代画廊から購入されています。この度、現代画廊ゆかりの作品約70点が一括して当館に寄贈されることとなりました。これは、寄贈者の故・桑田勝美氏、後藤洋明氏、和田章一郎氏、N氏を始め、山田和子氏の協力を得て実現しました。本展ではその作品群をご紹介します。
洲之内徹は、1913年松山市で生まれました。学生時代を市内で過ごし、1930年東京美術学校建築科に入学。左翼運動に従事したことで除名処分になり、松山に帰郷します。逮捕を経て、転向を強いられた後は、軍嘱託として戦時の中国で過ごします。帰国後は小説を執筆し、数度の芥川賞候補にもなりました。1952年にふたたび上京。1961年に、田村泰次郎から現代画廊の経営を引き継ぐと、1987年に74歳で亡くなるまで、精力的に活動し続けました。
洲之内は画廊経営の傍ら、『芸術新潮』誌上で美術エッセイ「気まぐれ美術館」を執筆しています。連載は人気を博し、亡くなるまで14年にわたり続きました。時に、美術に無関係にも思える記述が延々と続き、読者を煙に巻く内容も少なくありません。しかし、一見脇にそれたかのように思われる文章からも、氏がものを見る目、美術に対する姿勢が一貫して窺えます。「いったい私は何を言うつもりだったのか、最後へきてまた分からなくなってしまったが、そんならこうでもいい。絵は理屈で描くものではないし、描けるものでもない」。「描く」ことに限定されない、ものを「見る」ことにも共通する洲之内の考えが表れた言葉です。
そうした姿勢により、萬鉄五郎、村山槐多、長谷川利行など、当時評価が定まっていなかった作家も今では美術史上重要な作家に位置付けられています。一方で、現代画廊の展覧会や「気まぐれ美術館」で取り上げた数多くの作家を通して、洲之内がどのような「眼」で、美術に接してきたか窺えます。洲之内は、「批評家に借りた眼鏡を捨てて(中略)思い切って自分の裸の眼を使うこと」で絵が「見える」ようになるといいます。他者からの借り物の見方ではなく、洲之内の素直な感慨によって作品が集まったのが現代画廊だったのです。
本展では、開館35周年にあたり、現代画廊ゆかりの作家を展示することで久万美術館の原点に立ち返るとともに、その精神が現代にどのように受け継がれているかを展望します。
青山美野子、浅尾丁策、アリヨス・イエルチチ、池辺貞喜、井上員男、上原正三、宇野マサシ、海老原友忠、木下晋、鞍掛徳磨、高良真木、古茂田美津子、古茂田守介、斎藤和雄、佐藤泰治、ジャック・アクロイド、田上允克、田中岑、丹治日良、土井虎賀寿、徳本恭造、内藤堯雄、成川雄一、西阪修、橋本樸々、兵藤和男、三浦逸雄、水村喜一郎、緑川俊一、宮忠子、みよし、森田英二、山高登、横田海、吉永邦治、四方田草炎、若栗玄
2024年9月14日(土曜日)~12月8日(日曜日)
9時30分~17時(入館は16時30分まで)
月曜日(ただし、9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開館)、
9月17日(火曜日)、9月24日(火曜日)、10月15日(火曜日)、11月5日(火曜日)は休館
※9月14日(土曜日)は開展式開催のため、13時00分~14時30分の間は展示室への入室を休止します。
前売券(一般のみ) |
450円 |
一般 | 1,000(700)円 |
高大生 | 400(300)円 |
小中生 | 300(200)円 |
※前売券は9月上旬頃より県内プレイガイド等で販売開始
※()内は20名以上の団体。
※高齢者(65歳以上)の方は半額。
※障害者手帳(身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳)をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
45台(無料)
町立久万美術館、久万高原町、愛媛新聞社、愛媛CATV
NHK松山放送局、南海放送、テレビ愛媛、あいテレビ、愛媛朝日テレビ、FM愛媛、高知新聞社、RKC高知放送、愛媛県、愛媛県教育委員会、松山市、松山市教育委員会、久万高原町教育委員会
愛媛県立松山東高等学校、松山中学・松山東高同窓会、愛媛県立伊予農業高等学校
一般財団法人自治総合センター
9月14日(土曜日) 15時00分~16時30分
原田光(元岩手県立美術館館長、美術史家)、 後藤洋明(コレクター)
町立久万美術館ロビー
無料
※要観覧券
町田紗記(絵描き)
10月26日(土曜日) 13時30分~16時00分
※雨天時は11月3日(日曜日)に延期
町立久万美術館エントランス
※詳細は後日当館HPにてお知らせいたします。
当館学芸員
9月28日(土曜日)、10月19日(土曜日)、12月8日(日曜日)各14時30分~15時00分、11月3日(日曜日・祝日)11時00分~11時30分
無料
※要観覧券
11月3日(日曜日・祝日)
当日はどなたも無料でご覧いただけます。
11月23日(土曜日)、24日(日曜日)
当館中庭にある《景色―レベル》の大規模な修復作業を、作者である多和圭三氏と伊予農業高等学校「石積み班」の生徒が協力して行います。来館者の皆さんは美術館ロビーから作業の様子をご見学いただけます。
※すべてのイベントの内容は変更になる場合があります。
町立久万美術館
Tel:0892-21-2881