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平成20年度企画展

ページID:0001106印刷用ページを表示する2017年10月19日更新

過去の企画展一覧

町立久万美術館2008年度自主企画展【開館20周年記念】

万作と草田男―「楽天」の絆

趣旨

今回の企画展は開館20周年を記念し、大正・昭和初期の青春期、深い関係で結ばれた「楽天」仲間のうち、とりわけ親密であった伊丹万作と中村草田男に焦点を当てます。

伊予・松山の文化的な土壌を遡ると、親密な関係で結ばれ、お互いに切磋琢磨する仲間たちの存在に突き当たります。その一つが大正時代、旧制松山中学(現・愛媛県立松山東高等学校)の回覧雑誌「楽天」に集まった伊丹万作、中村草田男、伊藤大輔、重松鶴之助ら。そのなかでも、深い友好を交わした万作と草田男は映画監督、あるいは俳人として、それぞれの道を探究し才能を開花させました。今回の企画展は「万作と草田男」にスポットを当て、多くの傑物を輩出した松山の知的土壌を探ろうという試みです。

久万美術館では、画家・重松鶴之助の生誕100年(2003年)を機に、「楽天」グループにスポットを当てた企画展「よもだの創造力」を開催しました。さらに、第二弾として江戸期の水墨画家・吉田藏澤と江戸期から明治期の書家・三輪田米山を取り上げた企画展「伊予の豪傑」(2006年)を開催。今回の「万作と草田男―『楽天』の絆」は、その第三弾です。

伊予人気質を象徴する「よもだ」という方言があります。それは不真面目、無責任といったマイナスの側面で捉えられます。しかし、外観は、とぼけたように見えても、うちに強いものを抱いている外柔内剛のタイプ。しかも、根底には既成の価値観からはみ出して、新しさを求める創造的な生き方がひそんでいます。いつの時代にも、何かが壊され、新しいものが生み出されていきます。「楽天」の仲間たちが、創造性を発揮したのは、実は「よもだの精神」、すなわち、反骨・逸脱が根底にあったからに他なりません。

草田男がいかに万作に心酔していたか、一方、万作が草田男にどのような視線を送っていたのか。「性質の符号を取り払った絶対値だけを信じる」という「楽天」仲間の友情、集団としての青春。それは、現代社会の人間関係、とくに若い世代にみられる希薄な関係に対して、意味深いメッセージになり得るのではないでしょうか。

万作と草田男―「楽天」の絆の画像

基本情報

期間

2008年10月4日 ~ 11月24日

主催

町立久万美術館、久万高原町、愛媛新聞社

協力

伊丹十三記念館

助成

財団法人地域創造、財団法人朝日新聞文化財団

後援

NHK松山放送局、南海放送、テレビ愛媛、あいテレビ、愛媛朝日テレビ、FM愛媛、愛媛CATV、松山市、松山市教育委員会

イベント

ギャラリートーク 対談
「万作と草田男も世界を語る―映像作家の視点から」
10月4日
講師:稲川方人氏(詩人・映画監督)×狩野志歩氏(映像作家)
聞き手:林浩平氏(詩人・恵泉女学園大特任准教授)

ギャラリートーク
「草田男と絵画」
10月19日
講師:芳賀徹氏(京都造形芸術大学名誉学長・比較文化研究)

ミニコンサート
「旧制中・旧制高の校歌・寮歌コンサート」
11月1日
出演:松山東高等学校コーラス部
旧制松山中学校・旧制松山高校の校歌や寮歌、回覧雑誌「楽天」仲間の愛唱歌「楽天の歌」など、彼らの青春期を音楽で表現

ギャラリートーク
「よもだの系譜」
11月1日
講師:小西昭夫氏(中山高等学校教諭)

その他関連イベント
映画上映会「國士無双」(1932年公開/東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵)
上映日:(上映時間/21分)
10月11日・ 10月25日・ 11月15日