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平成18年度企画展

印刷用ページを表示する2017年10月19日更新

過去の企画展一覧

町立久万美術館2006年度自主企画展

伊予の豪傑 -吉田藏澤・三輪田米山-

趣旨

「伊予の豪傑?なんと大仰な」と思われるかもしれません。ですが、二人の墨蹟は、久万美術館所蔵の近世~近代の伊予の書画コレクションのなかでも、ひときわ存在感の強いものです。彼らは、温厚柔和な気質と言われる伊予の地で、質実剛健、豪快無比な墨の芸術作品を残しました。また、二人とも、それぞれが生きた時代の画壇や書道界とは一線を画しながら、創造力を発揮した人物です。そんな彼らを豪傑と呼びたいと思います。

彼らは、伊予の近代芸術へつながる礎の一端を築いたといえます。時代を超えて語り継がれるべき人物ですが、残念ながらその功績は風化に向かいかけているのも事実でしょう。

そんな現在、彼らの遺墨を紹介することで、その意義を認識していただき、次代へ伝える一助になればと考えます。

-吉田藏澤・三輪田米山の画像

吉田藏澤 1722(享保7)~1802(享和2)

松山藩士吉田直良の長男として、風早郡(現・愛媛県松山市北条地区)に生まれる。松山藩内でも餓死者が出た享保の大飢饉などを体験したことからか、当時の慣例に反し、自ら代官になることを志願、藩の幹部たちの反感を買う。42歳のときに風早郡の代官に就き、弱者の側に立った施策で、農民からは名代官として慕われたという。

好んで武術を鍛錬する反面、刀や具足の手入れはしない。藩主に直言したり、藩士が起こした事件に連座して厳罰に処せられる、といった、武士としての気骨、反骨精神をうかがわせる逸話を持つ。

一方で、30歳頃から、絵筆をとりはじめ、大鵬や鶴亭といった中国渡来の画僧たちのもたらす南画を研究し、後年、実直な人柄がそのまま表れたかのような大幹の竹図を、墨で豪快に描いた。

「藏澤の竹」と言われる独特の絵「墨竹」は、50歳台半ばを過ぎて書かれたもので、80歳で亡くなる直前まで書き続けた気力には驚かされる。その名声は生前に、中国・九州まで知られていたらしいが、画壇にゆだねることなく、絵を余技と心得ていた藏澤は、絵の謝礼の金銭は受け取らなかったという。

三輪田米山 1821(文政4)~1908(明治41)

松山領久米郡鷹子村、郷社日尾八幡の祠官三輪田清敏家に生まれる。同社の神官として、明治維新を境にした前後40年、幕末と明治という激動の時代に生きた。

明月や王羲之を手本に書を学んだが、古典にとらわれず、独自の表現を見せる書は、大胆かつ素朴で、下手とか上手いとかを超えた魅力をもつ。漢詩・和歌・かな等、素材は様々で、300冊に達する「米山日記」は、当時の記録資料としても貴重だ。だが、何といっても真骨頂は、極太の少数字である。枠からはみ出すほどの勢いで襖に書いた大書もある。また、その魅力から、松山近郊の神社には、米山の字を原本とする注連石や幟旗も多く作られた。存命中にその書が石文となったのは米山が最初だといわれる。

さらに、佐伯祐三のコレクターとして知られる故山本發次郎氏(大阪)は、戦前から米山も多数蒐集している。

偏屈者で、書を求められると、大酒を飲んで筆をとった。それだけに酒にまつわる逸話が多が、半面、几帳面で、物事の筋道を通さずにいられない気質の持ち主であったという。

米山は、当時の書道界に身を置くことはなかった。そんな逸脱した生き方を支えたのは、揮毫を望んだ伊予の人々であった。
豪放、奔放な墨竹で知られる藏澤。雄渾な書風で名高い米山。二人とも当時の画壇、書壇とは一線を画して、自由に、奔放に柔軟な生き方をしている。しかも、豪放磊落な人柄が伝えられ、その作品は豪快無比ともいうべき共通点をもつ。それぞれの生き方の根底には、反骨、あるいは逸脱、既成の価値観からはみだし、常に新しさを求める、そんな「よもだ精神」が貫かれていた、と言っていい。

この展覧会は、重松鶴之助の生誕100年を機に旧制松山中学の「楽天仲間」にスポットを当て、重松のほか伊丹万作、伊藤大輔、中村草田男らの“青春の系譜”を紹介した当館の2003年秋の企画展「よもだの創造力」の第二弾でもある。

基本情報

期間 

2006年10月6日 ~ 11月26日

主催

町立久万美術館、久万高原町、愛媛新聞社

助成

財団法人地域創造、日本芸術文化振興財団、財団法人朝日新聞文化財団

後援

NHK松山放送局、南海放送、テレビ愛媛、あいテレビ、愛媛朝日テレビ、FM愛媛、愛媛CATV、松山市市教育委員会

イベント

ギャラリートーク
「米山・人と書」
10月6日
講師:小池邦夫氏(日本絵手紙協会会長)

ギャラリーコンサート
「三曲 ― 尺八・琴・三絃」
11月12日 
出演:尺八/都山流 花山宗山氏・琴 /生田流正派 豊田雅悠美社中・三絃/生田流九州地唄川瀬派 井部悠紀氏