○久万高原町消防救急業務実施要綱

平成17年1月1日

消防告示第4号

(趣旨)

第1条 久万高原町消防救急業務取扱規程(平成17年久万高原町消防訓令第26号。以下「規程」という。)の細部運用は、この告示に定めるところによる。

(応急処置等)

第2条 規程第19条に規定する観察及び応急処置の基本原則は、次に掲げるところによるものとする。

(1) 観察

 観察は、傷病者の症状に応じて応急処置の前に行うこと。

 応急処置を行う前に、傷病者本人又は家族その他の関係者から主訴、原因、既往症等を聴取すること。

 観察の開始は、救急現場到着又は傷病者を視認したときからとし、医療機関収容まで継続して行う。

(2) 応急処置

 比較的簡単で、短時間に行うことができ、かつ、効果をもたらすことが客観的に認められている処置であること。

 規程第8条に規定する救急資器材を用いて行うこと。

 観察の結果に基づき、症状の重い傷病者から順次適応する応急処置を迅速的確に行うこと。

 呼吸、循環器等生命維持に必要な処置を最優先して行うこと。

 傷病者の移動、動揺は必要最小限にとどめ症状の悪化を防止し、苦痛の軽減を図ること。

(死亡者の取扱い)

第3条 規程第25条に規定する、明らかに死亡していると認められる傷病者の判断基準は、次に掲げるところによるものとする。

(1) 傷病者の頭部、体幹の切断又は腐敗状態から社会通念上死亡と判断できるもの

(2) 傷病者の四肢の硬直又は死斑等の状況から社会通念上死亡と判断できるもの

(3) 医師が死亡していると診断した場合

(4) 前3号のほか、死亡者に対しては礼を尽くし丁寧に取り扱い、努めて公衆の目に触れないよう配慮するとともに、移動や現場保存などに際しては警察官との連携を密にすること。

(関係者等の同乗)

第4条 規程第26条に規定する正常な意思表示ができない者以外で、次に掲げる場合には、家族又は警察官の同乗を求めることができるものとする。

(1) 錯乱状態及び泥酔等の状態にある傷病者で、自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼすおそれがあると認められる場合

(2) 住所不定者を搬送する場合

(関係機関との連携)

第5条 規程第33条に規定する傷病者で、次の各号のいずれかに該当する場合は、速やかに関係機関へ通報するとともに、必要な処置を講ずるよう努めるものとする。

(1) 救急活動にあたって保健所に関係ある感染症、食中毒及び精神病等の特殊な疾病による傷病者を取扱った場合

(2) 交通事故、加害事故等警察機関に関係ある救急業務にあたって必要と認める場合

(活動の記録)

第6条 規程第34条に規定する救急活動記録票は、各欄を次により作成するものとする。

(1) 事故種別

救急事故種別分類基準は、規程第2条第2号で規定する別表第1のとおりとする。

(2) 覚知別

消防機関が最初に事故の発生を覚知した方法を記入するものとする。

(3) 発生場所

実際に傷病者の発生した場所をできるだけ詳細に記入するものとする。(記入例、○○町○○番地△△現場××作業場、○○橋から北○○メートル等)

(4) 収容場所

救急隊が出場し傷病者を救急車内に収容した場所を、できるだけ詳細に記入するものとする。

(5) 覚知時刻

消防機関が最初に事故を覚知した時間を記入するものとする。(事故発生と覚知の日を異にする場合は、月日を付記すること。)

(6) 傷病者氏名、住所、生年月日

 傷病者のうち、住所、氏名及び生年月日の不明なものは、不詳として処理し、その後医療機関、警察署等に連絡し、判明次第事後記入して必ず整理しておくものとする。

 職業は、傷病者が日常従事する勤務をいい、別表第1の分類により記入するものとする。

(7) 年齢区分

年齢区分は次により分類すること。

 新生児(生後28日以内の者)

 乳幼児(生後29日以上、満7歳未満の者)

 少年(満7歳以上、満18歳未満の者)

 成人(満18歳以上、満65歳未満の者)

 老人(満65歳以上の者)

(8) 不搬送

 不搬送理由の分類は、別表第2により記入するものとする。

 不搬送の理由が重複する場合には、当該出場につき主たる理由1件を記入するものとする。

 事故現場において応急処置を行った場合には、他の不搬送理由と重複の有無にかかわらず現場処置に分類するものとする。

(9) 傷病程度

 傷病程度の分類は、別表第3の基準により記入するものとする。

 傷病程度は、医師の診断結果を後日記入し、整理しておくものとする。

(10) 傷病者観察

 顔貌、意識の状態、呼吸等の観察は、規程第19条(別表第5―1、5―2)に基づき実施する。

 意識の観察は、別表第4の基準により記入するものとする。

(11) 応急処置

 応急処置は、規程第19条(別表第6―1、6―2)に基づき実施しなければならない。

 事故現場において応急処置のみで医療機関等へ搬送しなかったときも記入しなければならない。

 保温とは、傷病者の状況から特に体温を保持する必要がある場合をいう。

(12) 告示病院別

告示病院別で分類し、国立・公立・公的及び私的(病院、診療所)の別を記入するものとする。

(13) 転送理由

 転送理由の分類は、別表第5の基準により記入するものとする。

 搬送途中に応急処置のため医療機関に立ち寄った場合も転送とする。

 医師が傷病者を救急車内で診察、処置した場合、また、救急初療室等において診察、処置の後直ちに他の医療機関へ搬送する場合も転送とする。

(14) 事故発生原因、規模、形態等

事故が発生するに至った原因、概要等をできる限り明確に記入するものとする。

例1 ○○方面より走行してきた○○自動車が、△△方面に走行中の△△運送の大型トラックに正面衝突したもの

例2 ××道路建設中△△骨組のボルトがゆるみ、鉄骨が倒れたため、土砂止めのパネルがはずれ土砂が崩れ生埋めとなったもの

(15) 添付

必要があるときは、この報告に事故現場付近の地図、新聞記事等を添付するものとする。

(消毒)

第7条 規程第40条に規定する消毒は、次に掲げるところによるものとする。

(1) 救急自動車内の空気清浄化のため、定期的に窓、扉を開放して大気を導入し、空気の入れ換えを行うこと。

(2) 救急自動車内の微生物を殺菌する目的で、消毒薬を噴霧してはならないこと。

(3) 救急自動車内の壁や床は、消毒薬(塩化ベンザルコニウム、両性界面活性剤、消毒用エタノールなど)をしみこませた雑巾やモップで清拭すること。また、床の奥のほうから出入り口の方向へ、一方向に拭き取ること。

(4) 救急自動車の清拭作業に際しては、感染防止衣や手袋、マスク等を着用し消毒薬から出る有毒ガスを吸い込まないようにすること。

(5) 呼吸管理に関係した救急資器材を再使用する場合には、充分に洗浄した上で消毒、滅菌を行うこと。

(6) 滅菌包装された資器材を使用する場合は、使用期限に注意するとともに、一旦開封したものについては再滅菌を行うこと。

(7) 感染性廃棄物は他の廃棄物と区別し、感染症用焼却袋に収納し適正に処理するものとすること。

(救急即報)

第8条 規程第44条に規定する救急即報は、警防課長が国の定める様式により消防長に報告するものとする。

2 消防長は、すべて県を通じて消防庁長官に報告するものとする。

3 前項の報告期限及び報告要領は、即日とし電話等によって行うものとする。

第9条 規程第45条に規定する救急事故報告期限及び報告要領は、消防庁長官の定める日までとし、国の定める様式により消防長が県を通じて、消防庁長官に報告するものとする。

(施行期日)

1 この告示は、平成17年1月1日から施行する。

(経過措置)

2 この告示の施行の日の前日までに、解散前の上浮穴郡生活環境事務組合救急業務実施要綱(昭和60年上浮穴郡生活環境事務組合要綱第8号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの告示の相当規定によりなされたものとみなす。

(令和5年3月10日消防告示第1号)

この告示は、令和5年4月1日から施行する。

別表第1(第6条関係)

職業別分類基準表

区分

内容

公務員

国家公務員、地方公務員

会社員

一般事務員、商社員及び各種組合職員で事務的業務に従事するもの

金融関係者

銀行、信用金庫、保険会社及び証券会社等に勤務するもの

工業関係者

金属材料、機械、電気、計器、織物、印刷、ゴム、皮革等の製造加工、化学工業及び食料品製造加工等に勤務するもの

鉱業関係者

金属、非鉄金属、石炭、亜鉛及び石油等の鉱業に従事するもの

商業関係者

商品外交員、店主、店員、販売店及び露天商等に勤務するもの

農漁業関係者

農業、林業及び漁業(漁船員、浅海漁業、内水面漁業)等に従事するもの

建設業関係者

屋根、配管、畳、タイル、ブロック工、れんが工、大工、左官、井戸掘等土木建築に従事するもの

運輸業関係者

陸上輸送機関、航空機、水上輸送機関(商船、貨物船等)に従事するもの

サービス業関係者

女中、家政婦、付添婦、旅館待合、バー、キャバレー、飲食店、理容美容師、クリーニング業、ビル清掃関係等に従事するもの

医療関係者

医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、はり、あんま等療術業に従事するもの

学校関係者

学校教育法に基づく学校、各種学校、幼稚園等に勤務するもの

乳幼児

未就学児(0歳~6歳)

学生・生徒

小、中、高、大学、特殊学校及び各種学校の生徒を含む。

自由業

芸術家、評論家、弁護士、会計士、牧師、通訳、モデル、カメラマン等

労務者

仲仕、工夫、強力、運搬工上乗、牛乳新聞配達人、雑役夫等

無職

老人等

主婦

家庭において家事を行っているもの

その他

上記に属さないもの

別表第2(第6条関係)

不搬送分類基準表

区分

内容

拒否

酒気を帯びていない傷病者で、傷病者又はその関係者が搬送を拒否したもの

酩酊

酒気を帯びている傷病者で、傷病者又はその関係者(警察官含む。)が搬送を拒否したもの

死亡

救急隊到着時、明らかに死亡していたもの

現場処置

現場において応急処置を行い、搬送しなかったもの

立去り他車搬送

救急隊到着時すでに立ち去っていたもの及び他の車両で搬送されていたもの

傷病者なし

事故はあったが傷病者の発生がなかったもの

誤報いたずら

誤報及び救急要請の事故事実がなく、故意に救急出動を要請したもの

途中引揚げ

事故現場に向かう途中で引き揚げたもの(医師搬送、資器材搬送等輸送のため出動したが従事しなかったものを含む。)

緊急性なし

傷病者はあるが緊急に搬送する必要のなかったもの

その他

前各号以外のもの

別表第3(第6条関係)

傷病程度の分類

区分

内容

死亡

初診時において死亡が確認されたもの

重症

傷病の程度が3週間以上、入院加療を必要とするもの

中等症

傷病の程度が重症又は軽症以外のもの

軽症

傷病の程度が入院加療を必要としないもの

その他

医師の診断がないもの及びその他の場所へ搬送したもの

別表第4(第6条関係)

意識障害の分類(3―3―9度方式)

Ⅲ:刺激しても覚醒しない状態

300:痛み刺激にまったく反応しない

200:痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる

100:痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする

Ⅱ:刺激すると覚醒する状態(刺激を止めると眠り込む状態)

30:痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと、かろうじて開眼する

20:大きな声又は体をゆさぶることにより開眼する

10:普通の呼びかけで容易に開眼する

Ⅰ:刺激しないでも覚醒している状態

3:自分の名前、生年月日が言えない

2:見当識障害がある

1:大体意識清明だが今一つはっきりしない

付記事項 R:不穏状態 I:糞便失禁 A:自発性喪失状態

*数値の後に付記する(例30―R)

別表第5(第6条関係)

転送理由の分類

ベッド満床

ア 1つの救急事故につき、多数の傷病者を1つの医療機関に搬送した場合に、そのすべての者を収容できないままベッドが満床となった場合を含む。

イ 一般病床は空いているが、診断の結果、結核病床又は伝染病床等を必要とする場合、これらの病床がすでに満床であった場合を含む。

専門外

ア 専門医の処置を必要とするため収容できない場合をいう。

イ 医療機関としては、適応診療科目を標ぼうしているが、たまたま当直医が専門外であった場合を含む。

ウ 専門医不在の場合を含む。

医師不在

ア 搬送先医療機関において、医師が不在であった場合を含む。

イ 医師が病気等で対応できない場合を含む。

手術中

ア 現に手術中だけでなく、手術の準備及び手術直後を理由とする場合を含む。

イ 重患で手が離せない場合を含む。

処置困難

ア 当該傷病者に対処するための設備、資機材がない場合をいう。

イ 手術の要はあるが、スタッフがそろわない、手不足である、手に負えない場合を含む。

理由不明

医師又は医療機関側から収容できない理由の説明がなかった場合をいう。

応急処置

応急処置のため、医療機関に立ち寄った場合をいう。

その他

身元不明者、他の患者に迷惑をかける等、上記のいずれにも分類されない場合をいう。

久万高原町消防救急業務実施要綱

平成17年1月1日 消防告示第4号

(令和5年4月1日施行)