ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 組織で探す > まちづくり営業課 > 久万高原町のLPWAに関する取組みについて

久万高原町のLPWAに関する取組みについて

ページID:0013061印刷用ページを表示する2022年4月1日更新

LPWA(無線規格)についての概要

 LPWAとはローパワーワイドエリア(Low Power Wide Area)の略で、通信機器の消費電力を抑えることで比較的低速・小容量ながら低コストでの長距離通信を実現する無線通信技術の総称です。スマートフォン等で使用するLTE通信や光通信のような「高速大容量」の通信に対して「省電力低コスト」というポイントで注目されている技術です。
 LPWAには多様な規格があり、自営通信網の構築や双方向通信など、規格によってできることが異なります。LPWAの特徴の一つである長距離通信についても、十数km程度のものから数百km程度のものまで様々です。20mW以下の出力であれば無線局の免許も操作資格も不要で、国内でも4~5年前から電気通信事業者などを中心に実証実験が進められ、導入事例が増えています。
 使う場所や用途に応じて適したものを選択する必要がありますが、一般的に、IoT(モノとモノをインターネットでつなぐ)や、M2M(マシンとマシンをつなぐ)と呼ばれるような、複数のモノとモノや機械同士が搭載されたセンサーの情報(温度、湿度、回転数、位置情報など)のやり取りに適した無線方式とされています。

高度無線活用におけるLPWAの位置づけ
高度無線活用におけるLPWAの位置づけ

久万高原町LPWAシステムの導入経緯

 久万高原町では、町内の森林に携帯電話が通じないエリアが点在し、主幹産業である林業では施業場所からの緊急時救助要請や業務生産に関わる連絡ができない等の課題を抱えていたことから、林業の安全性と生産性の向上を図るため、プロポーザルを経て(株)フォレストシーと業務委託契約を結び、LPWAを使用した通信システムを構築しました。同社は、「オリワナシステム」というLPWAを使用した有害鳥獣捕獲用ワナの遠隔監視装置で全国に導入実績があり、制度上許容される上限である250mWの高出力な規格を採用しています。
 出力が250mWの場合、陸上移動局の無線局免許の登録という電波法上の手続きが必要となりますが、手続きのいらないタイプの規格と比べて、大幅に長距離の通信が可能であることから、本町のシステムに採用しました。

 久万高原町LPWAシステムおよび林業ジオチャットの導入にあたっては、令和元年度総務省補助事業である「地域IoT実装推進事業」を活用しました。

久万高原町LPWA通信網(通信インフラ)の構築について

 役場屋上に親機を、町内の標高が高い地点20か所に中継機を設置し、LPWA通信網を構築しました。

LPWA親機
LPWA親機の写真

LPWA中継機
LPWA中継機

林業ジオチャット(LPWA子機)について

 林業安全性・生産性の向上を目的として、令和元年度に250台を導入し、久万高原町内で林業に従事する方にジオチャットの貸与を行っています。

外観
ジオチャットの外観

機能
(1)位置(緯度経度)情報の自動発報、および管理画面での経路情報の確認
(2)SOS発信機能
(3)専用アプリを利用したテキストチャット機能

システム管理画面について

 システム管理画面はクラウドサービスで提供されており、システム下の機器の状態や定時通信の履歴確認などが行えます。
 ジオチャットの管理画面では、SOS発信の位置・経路情報の確認や、ジオチャットとのテキストチャットが可能です。

管理画面で表示される軌跡のイメージ図
管理画面で表示される経路のイメージ

救急体制について

 久万高原町では、久万高原町消防本部の協力により、林業ジオチャットからのSOS発信を消防本部で直接受け取り、119番通報があった場合と同様の救急・救助活動を行う体制をとっています。
久万高原町LPWAシステム概要図

林業ジオチャットSOS報知システム

 林業ジオチャットからの救助要請に対応するため、消防本部、役場、森林組合の3か所にパトランプを設置しています。
パトランプにはLPWAの通信機が内蔵されており、林業ジオチャット(および専用アプリ)からのSOS発信を直接受信し、ランプとサイレンで通知します。

SOS報知システムに関する機器(PCとパトランプ)

林業分野以外での活用

防災分野

・水位センサー

LPWA水位センサー

 センサーが水没を検知するとLPWA通信を使って冠水情報をサーバーに送信します。
 河川の状況にあわせて、警戒・危険・越水の3段階の水位を設定し、センサーを設置しています。

農業(有害鳥獣対策)

・オリワナシステム

 マグネットセンサーにより捕獲罠の動作を検知して作動通知を発信します。罠の見回り負担軽減が見込まれます。

そのほか進行中の実証実験

・カメラ、気象計

 カメラと気象計を水位センサーに併設することで、現地の降水量や増水の状況等を遠隔でより詳細にモニタリングできるシステムを検証しています。

・下水用マンホール内の水位情報監視

LPWAに関する技術開発のためのテストフィールド提供について

 久万高原町では今後のLPWAのさらなる活用を目指して、町で整備したLPWA通信網をLPWAに関する技術開発のためのテストベッド(テストフィールド)として提供します。

 詳しくは久万高原町役場まちづくり営業課デジタル戦略班までご連絡ください。