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平成16年度企画展

ページID:0001102印刷用ページを表示する2017年10月19日更新

過去の企画展一覧

町立久万美術館2004年度自主企画展【町村合併記念】

松本竣介を支え続けた友人 畑山昇麓コレクション展-萬鐵五郎記念美術館所蔵作品を中心に

趣旨

日本の近代を代表する画家・松本竣介は、今日、多くの人に愛されその人気はますます高まりをみせています。それは取りも直さず彼の作品に通底する静謐な詩情に惹かれるのと同時に、純粋で清らかな彼の人柄がそこに裏打ちされているからにほかなりません。そんな彼を慕い、支えた、同郷の学友については、これまで一般に知られることがありませんでした。この度その一人であり、いわば竣介によって美に開眼し、その後、細々ながらも独自のコレクションを形成するにいたった人物とそのコレクションに秘めた物語を紹介します。

畑山昇麓は、松本竣介の中学時代からの友人で、画家となった竣介を慕い、支え続けた人物です。彼は、竣介の作品はもとより、日本近代美術を中心に、独自の鑑識眼により収集しつづけたコレクターでもありました。その一部は、神奈川県立近代美術館の松本竣介展示コーナー開設に伴い、1967年に竣介作品を寄贈。その後1975年には、岩手県に収蔵され現在、岩手県立美術館の松本竣介コレクションの重要な作品群の一つとして加えられています。そして、1986年には岩手県の萬鉄五郎記念美術館に、竣介はじめ多くの個性派の美術作品が寄託されました。

このように、単に美術愛好家に留まらず、竣介亡きあとも彼の顕彰のために惜しまない助力を重ねてきました。

このたび、萬鉄五郎記念美術館所蔵作品に、各美術館に収蔵されている旧所蔵作品を加え、松本竣介との交友から始まった畑山昇麓のコレクションを紹介すると同時に、独自の眼で収集されたコレクションに一貫して流れる彼の美術に対する視線をあらためて見つめ直したいと思います。

畑山昇麓コレクション展の画像

基本情報

 期間

2004年10月9日 ~ 12月15日

主催

町立久万美術館、久万高原町、財団法人愛媛県市町村振興協会、愛媛新聞社

助成

日本芸術文化振興財団、財団法人朝日新聞文化財団、財団法人野村国際文化財団

後援 

NHK松山放送局、南海放送、テレビ愛媛、あいテレビ、愛媛朝日テレビ、FM愛媛、愛媛CATV

展示内容

松本竣介15点、野田英夫14点をはじめ、油絵・版画・素描 全約 130点  (期間中に一部作品の展示替えをします)

出品作家

松本竣介、野田英夫、藤田嗣治、国吉康雄、佐伯祐三、永瀬義郎、麻生三郎、澤田哲郎、高橋忠弥、田中阿喜良、関野準一郎、海老原喜之助、小野忠重、鶴岡政男、駒井哲郎、吹田文明、香月泰男、相笠昌義、池田龍雄、深沢幸雄、村井正誠、一原有徳、菅井 汲、野田哲也、高松次郎、他

イベント

ギャラリーコンサート
「青木敏郎 ギター・ソロ」
10月10日
演奏:青木敏郎氏 (松山市在住)

ギャラリートーク
「切ってもきれない松本竣介と畑山コレクションの相関」
10月31日
講師:平澤広氏 (萬鉄五郎記念美術館学芸員)

ギャラリー・コンサート〈アーリー・クリスマス スペシャル〉
「初冬の昼下がり JAZZYなひとときを…」 
12月5日
演奏:矢野麻衣子(vo) & 奥田治(g) with 渡部由紀(p)トリオ

今展について

畑山コレクションは、岩手県東和町にある萬鉄五郎記念美術館の所蔵です。同館は、地元出身の画家萬鉄五郎を顕彰する美術館です。また、萬鉄五郎は、四国愛媛の町立久万美術館の設立の基「井部コレクション」の中核画家の一人です。

その井部コレクションと、萬記念美術館の畑山コレクションは、それぞれ、地元ゆかりの蒐集家 故 井部栄治氏と畑山昇麓氏によるもので、二人は、ほぼ同じ時代を生きています。

コレクションは、内容的には多少異なるものの、財力で「有名作家の有名作品」を追い求めたり、総花的に集めたりというものではなく、新たな価値観を求め、異端とか個性派とか呼ばれた画家たちに注目して作品を追い求めたという、相通じる性格を持っています。

そして今回の企画展は、四国と東北という遠隔地の美術館が持つ、お互いのコレクションを交換展示する、地方の2つの小規模美術館の交流企画でもあります。

財力の弱い地方の小規模美術館が、互いのコレクションを交換展示し、地域住民に紹介することで、美術文化に接する動機・機会を提供し、新たな美術ファンの開拓も図るというもので、絵画を通じて、ささやかながら四国と東北の文化交流に貢献することができればと考えます。