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コレクション展27年度3回目

ページID:0001085印刷用ページを表示する2017年10月19日更新

過去のコレクション展一覧

H27久万美コレクション展3


生(き)の線-紙上の命

趣旨

―ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし―

ものの儚さを語る文章で描写される流れる水。この鴨長明「方丈記」の冒頭のイメージは、紙の上を動く線にもなぞらえられるように思います。

一本の線は、白い紙の空間を分断し、新たな世界を次々と生み出します。一般に、絵を描くという行為は、創造的なものだと捉えられます。しかし、線描による創造には、白い紙にある種の破壊が生起しています。その破壊と創造が明滅する様が、「方丈記」の冒頭の一節を想起させるのです。画家たちの生み出す線を、一つの生命体として見てみることは、これまでとは違った鑑賞体験をもたらすのではないでしょうか。

今回の特集展示では、近現代の洋画家たちが描いた素描・鉛筆画をコレクションの中から紹介します。たとえば、10Bから10Hまでの22種類の鉛筆で描く緻密な作風で知られる木下晋(1947-)の《願望2》(1993年)では、執拗な線で髪の一本一本が表され、細やかな陰影で生々しい女性の姿、その感情までもが描き出されています。また、速筆で知られる長谷川利行(1891-1940)の《女の顔》(1937年)では、長谷川の素早い描写力によって掴み取られた対象の存在が臨場感を持って見るものに迫ってきます。

他にも、小出楢重(1887-1931)や村山槐多(1896-1919)、前田寛治(1896-1930)らの素描も併せた約15点を展示します。

生(き)の線-紙上の命の画像

お知らせ

久万美術館はNHK「日曜美術館」40周年記念キャンペーンに参加しています。森堯茂《風の門-S氏へのレクイエム》に続き、第2弾としてコレクション展3において木下晋《流浪2》(1986年/鉛筆・紙)を展示し、過去に同番組で紹介された映像を上映します。こちらもともにお楽しみください。

その他の展示

洋画では、日本の近代洋画を代表する高橋由一や黒田清輝らの作品、さらに大正・昭和初期の前衛画家・村山槐多や岸田劉生、萬鉄五郎らの作品を展示します。また、伊予の書画や砥部焼を中心とした古い伊予のやきものを展示します。

会期

2015年11月29日(日曜日)~2016年3月21日(月曜日・祝日)