視線の先-画家とモデルと
当館が所蔵している木下晋らの人物画を中心に、モデルを見つめる画家、画家から目をそらし、あるいは見つめ返すモデル絵画の上で交差する視線をテーマにした展覧会です。
私たちの「見る」という行為は、例えば「人をじろじろ見てはいけない」というマナーがあるように、ときとして禁忌とされる行為です。それは、「見る・見られる」が人と人との欲望を含んだ関係性を表象しているからに他なりません。そのように考えると、人物画すなわち描かれた人物を見ることが、にわかにスリリングな行為のように思われてきます。
描かれた人物の視線の先をたどってみましょう。それをたどっているうちに、絵を見る自らの視線を発見することにつながるでしょう。モデルがこちらを見つめ返すことで生じる関係性、それはモデルが画家とだけでなく、描かれたモデルとして鑑賞者とも関係をもつことになるのです。
画家とモデル、そしてその関係そのものとしての作品を見る私たち。「画家とモデル」というテーマを立てることは、「見る」行為の意味について、「見る」とは何かについて考えるきっかけとなることでしょう。
出品数15点
2011年1月22日(土曜日)~4月17日(日曜日)
洋画では、日本の近代洋画を代表する高橋由一や浅井忠の、黒田清輝らの作品を、日本書画では、春らしい季節を感じさせる伊予の書画を展示。その他、近世から近代にかけての砥部焼を展示します。