○久万高原町森林づくりと木へのこだわり条例

平成20年9月11日

条例第33号

久万高原町の森林は、町土の9割を占め、そのほとんどがスギ、ヒノキの人工林である。

これらの森林は、生命の源である清らかな水をたくわえ、空気を浄化し、町土を保全し、私たちの生活に潤いを与えてくれるとともに、多種多様な動植物の生息、生育の場を提供する等様々な役割を果たしている。

しかし、高度経済成長期からの木材輸入の増加などにより、林業は構造的な不振の状況にある。その結果、適切な手入れがされないまま放置されている森林が見られるようになった。このままでは森林の有する多面的機能が損なわれ、私たちの暮らしに深刻な影響をもたらすことが危惧される。

今、私たちは、この森林を築きあげてきた先人達に感謝し、山に住むものとして森林との共生を見つめ直し、長期的展望をもって、その多面的機能が持続的に発揮できるよう森林を守り育て、この町の森林を健全な姿で次世代へ引き継ぐことを決意し、久万高原町森林づくりと木へのこだわり条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、森林づくりと木へのこだわりについて、基本理念を定め、町、森林所有者及び森林組合の責務並びに町民及び事業者の役割を明らかにするとともに、町の施策の基本となる事項を定めて、森林づくりと木へのこだわりに関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、町土の保全及び町民が健康で暮らし、豊かなまちづくりを実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 森林づくり 森林の多面的機能を持続的に発揮させるため、森林を適切に整備し守り育てることをいう。

(2) 木へのこだわり 森林資源をあらゆるものに活用し、木のまちと認識できる町並みづくりや町産材使用にこだわった木材需要拡大の取組をいう。

(3) 多面的機能 水源のかん養、土砂流出又は山地崩壊の防止、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、木材等林産物の供給等の森林の有する多面にわたる機能をいう。

(4) 森林所有者 町内に所在する森林の所有者をいう。

(5) 森林組合 森林組合法(昭和53年法律第36号)に規定する組合をいう。

(6) 町民 町内に居住し、通勤し、又は通学する個人及び町内において事業若しくは活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。ただし、次号に掲げるものを除く。

(7) 事業者 森林の施業、木材その他の林産物の生産加工又は流通施工の事業を行う者をいう。ただし、森林組合を除く。

(基本理念)

第3条 森林づくりと木へのこだわりは、森林の有する多面的機能が持続的に発揮されるよう、長期的展望に立ち、地域の特性に応じて推進されなければならない。

2 森林づくりと木へのこだわりは、森林資源が再生産可能な資源であることにかんがみ、林業及び木材産業等の健全な発展とともに、環境に配慮した循環利用を促進し、適切な森林施業の実施を確保することにより推進されなければならない。

3 森林づくりと木へのこだわりは、森林所有者、森林組合、町民、事業者及び町の適切な役割分担による協働により推進されなければならない。

4 森林づくりと木へのこだわりは、持続的な森林の整備を図ることと、その担い手を将来にわたり確保することの重要性にかんがみ、次代を担う青少年をはじめ町民の森林への理解を深め、森林づくりを支える人材の育成を図ることにより推進されなければならない。

(町の責務)

第4条 町は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、森林づくりと木へのこだわりに関する基本的かつ総合的な施策を策定し、実施に努めなければならない。

2 町は、森林づくりと木へのこだわりの推進に当たっては、国、県及び関係機関等と相互に連携を図るよう努めなければならない。

3 町は、森林及び林業に関する情報等の発信を通じて、町民が基本理念に関する理解を深めるよう努めなければならない。

(森林所有者の責務)

第5条 森林所有者は、基本理念に対する理解を深め、自ら所有する森林の状況を把握し、森林の有する多面的機能が確保されるよう森林の整備及び保全を図るよう努めなければならない。

2 森林所有者は、町が実施する森林づくりと木へのこだわりに関する施策に協力するよう努めなければならない。

(森林組合の責務)

第6条 森林組合は、基本理念に基づき、中核的な担い手として、森林づくり及び森林資源の有効な利用の促進に積極的に取り組むとともに、町が実施する森林づくりと木へのこだわりに関する施策に協力するよう努めなければならない。

(町民の役割)

第7条 町民は、基本理念に対する理解を深め、森林がもたらす恵みを享受していることを深く認識し、森林づくりに関する活動に積極的に参加するとともに、町が実施する森林づくりと木へのこだわりに関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 町民は、森林から生産される木材その他の林産物の積極的な利用に努めるものとする。

(事業者の役割)

第8条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念に基づき、森林の有する多面的機能の確保及び森林資源の有効利用の促進に配慮するとともに、町が実施する森林づくりと木へのこだわりに関する施策に協力するよう努めるものとする。

(基本計画)

第9条 町長は、森林づくりと木へのこだわりに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。

2 基本計画には、森林づくりと木へのこだわりに関する中長期的な目標、基本となる方針、施策の方向その他必要な事項を定めるものとする。

3 町長は、基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ町民、森林所有者、森林組合及び事業者の意見を反映することができるよう、必要な措置を講ずるものとする。

4 町長は、基本計画を策定したときは、これを公表するものとする。

5 前2項の規定は、基本計画の変更についても準用する。

(環境に配慮した森林施業等の推進)

第10条 町は、森林の有する多面的機能が持続的に発揮されるよう、地域の自然的条件及び社会的条件を踏まえ、環境に配慮した森林施業、その他当該地域の森林の発揮すべき機能に応じた適切な森林施業を計画的に推進するため必要な措置を講ずるものとする。

(町民の主体的な参画の促進等)

第11条 町は、森林づくりと木へのこだわりに関し、町民の主体的な参画を促進するため、情報の提供、普及啓発その他必要な措置を講ずるとともに、町民が行う活動に対して、必要な支援を行うよう努めるものとする。

(町産材の利用の促進)

第12条 町は、町産材の利用を促進するため、町が行う公共事業においては可能な限り町産材を利用するとともに、住宅建築等においても、町民等の理解を得るため、情報の提供、知識の普及、その他必要な措置を積極的に講ずるものとする。

2 町は、町以外の機関が行う公共事業においても、関係機関へ町産材の利用について要請するものとする。

3 町は、住宅相談窓口を設け、町産材の需要拡大に努めるものとする。

(森林所有者の意欲の高揚等)

第13条 町は、森林所有者の森林づくりに対する意欲の高揚を図るため、適切な森林整備に関する情報の提供、技術の指導その他必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、林業労働に従事する者の確保及び育成を図るために必要な措置を講ずるものとする。

(森林組合等の活性化)

第14条 町は、森林組合及び事業者が行う組織体制の充実、人材の育成等の活性化の取組に対して、必要な支援を行うよう努めるものとする。

(森林環境学習の促進)

第15条 町は、森林づくりを支える人材を育成するため、森林内での体験活動の場所及び情報の提供その他森林の有する多面的機能についての理解と関心を深めることとなる森林環境学習の促進に必要な措置を講ずるものとする。

(財政上の措置)

第16条 町は、森林づくりと木へのこだわりに関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(森林づくりの状況等の公表)

第17条 町長は、毎年、森林の状況及び基本計画に基づき実施された施策の状況等を公表するものとする。

(委任)

第18条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

久万高原町森林づくりと木へのこだわり条例

平成20年9月11日 条例第33号

(平成20年9月11日施行)